一般社団法人企業防衛リスク管理会
コンプライアンスチェック バックグラウンドチェック リファレンスチェック 人材リスク対策 信用調査 採用前調査 現職社員調査

「人のリスク」が企業価値を毀損する時代 保険業界で相次ぐ不祥事はなぜ防げなかったのか

近年、保険業界におけるコンプライアンス問題が、ネットニュースやSNSで繰り返し取り上げ
られています。
その多くは、商品設計や財務処理ではなく、営業担当者個人の行為を発端とするものです。

直近で報道された外資系生命保険会社の営業社員による不正事案は、こうした構造的リスクが顕在化した一例と言えるでしょう。

企業として一定のコンプライアンス体制を整え、昨今では採用時に外部のバックグラウンドチェックを実施すること自体は、もはや珍しくありません。

それでも、なぜ不祥事は防げなかったのか。

この点を「個人の資質」だけで片づけると、本質を見誤ります。


事件の背景には、保険業界特有の営業構造があります。

生命保険の営業担当者は、顧客の人生設計や家族構成、資産状況といった極めてセンシティブ
な情報に深く関与しているのです。
長期担当制が一般的で、同じ顧客と何年、場合によっては何十年もの関係を築く中で、個人と
しての信頼が積み重なっていきます。

名刺や肩書きが示すのは、個人の信用だけではありません。
企業そのものの信用を背負った存在として、顧客と向き合う立場です。

この構造により、業務上の関係と私的な関係の境界が曖昧になりやすくなります。

相談内容や金銭の話、非公式なやり取りが、会社の管理が及ばない領域に入り込む。
この状態自体が、企業にとって大きなリスクを内包しています。


一度不祥事が顕在化すると、影響は個人にとどまりません。

・ブランドイメージの低下
・募集人や代理店への信頼失墜
・行政指導や業務改善命令
・採用難や離職率の上昇

といった形で、企業価値そのものが毀損されていきます。

にもかかわらず、現場では
「採用時の確認は形式的」
「在職中のコンプライアンスチェックは自己申告ベース」
という運用が続いてきました。


多くの大手企業や保険会社は、すでに外部のバックグラウンドチェック調査会社を利用してい
ます。それでも問題が起きた理由は明確です。

第一に、調査がデータベース依存になっていること。

表面的な経歴確認だけでは、実態や人柄、過去のトラブル傾向までは見えてきません。

第二に、リファレンスチェックの形骸化です。

書面アンケートのみで、回答者は安全な人物という想定の元、話は進められます。つまり、深掘
りの質問が行われないまま、形式だけが消化されていくのです。

第三に、調査報告書が判断材料として機能していない点です。

断定を避けすぎた結果、リスクの濃淡が分からず、現場や経営がどう判断すべきか読み取れな
い。調査を実施しても、意思決定に活かされていない。というケースが多く見受けられます。

今回の某外資系保険会社の事案が示したのは、「制度がなかった」という話ではありません。

多くの企業ではバックグラウンドチェックは「採用時」で止まっています。
しかし、今回の事案が示したのは、在職中こそリスクが蓄積・変質していくという現実ではないでしょうか。




不祥事は、ある日突然起きたように見えます。
しかし実際には、距離感の変化や関係性の歪み、見過ごされ続けた兆候が積み重なった結果と
して表面化します。

重要なのは、問題が起きた後に個人を切り離すことではありません。
なぜ兆候を捉えられなかったのか。
なぜ管理が届かなかったのか。
その構造を見直すことが、企業防衛の出発点になります。

在職中のリスクを含めた人の管理に課題を感じている場合は、
一般社団法人企業防衛リスク管理会へご相談ください。

企業価値を守るために必要なのは、事件対応ではなく、構造に踏み込んだ備えです。

本記事の著作権は日本信用情報サービス株式会社に帰属します。無断転載・複製・転用を禁止します。

公開日: